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入学金未納
生徒を隔離したのは間違いだ
千葉県の県立高校が、入学式当日に納付を定めていた入学金などを持参しなかった男女生徒2人を式に参加させなかった。2人の保護者は遅れて全額あるいは一部を納め、2人は入学を認められたが、式には出られなかった。
問題の側面は二つある。一つは、第一義的に保護者の責任である問題で学校側が子供を式や他の新入生たちから隔離するような措置を取ったこと。もう一つは、今回に限らず、例えば義務教育段階でも給食費未納が全国的に見られることに相通ずる問題である。すなわちルール無視の風潮だ。
学校は3月の説明会で入学予定者の保護者たちに、全額納付が難しい場合は分納が可能で、事前に相談するようにと知らせていた。
一方、式参加を拒まれた男子生徒の保護者は「後で払う」と電話で答えたが、学校側は「滞納の可能性がある」と式参加を認めず、納付金全額が届けられた時には式は終わっていた。女子生徒の場合は、保護者の相談であらかじめ分納を認められていたが、その納付金がなかったので式参加を認めなかった。お金は夕方届けられたという。
今回の判断について校長は「授業料滞納が目立ち、未納は負担の先送りと思った。苦渋の決断だったが、当然の判断だったと思っている」と説明する。
既に学校に授業料滞納がある状況で、新入生の保護者に「後で」と言われても「これもやはり未納か」と疑い、毅然(きぜん)とした態度でルール厳守を求めよう--というのは一理ある。だが、それはまず保護者に働きかけるべきことであり、説明会で通告していたとしても、ただ一度しかない入学式の前で子供に「足止め」をかけるような措置をするのは誤りだ。これに関して子供には何の非もない。
だが、その誤りを批判するだけでは今回の問題を教訓として生かしきれまい。
近年の全国の給食費未納問題など、払えない正当な理由がないのに「踏み倒し」同然に支払いを拒否したり、学校に食ってかかる保護者の問題が広く指摘されている。さらには、無理難題を浴びせる「モンスターペアレント」も教員を悩ませる。一方で所得や地域格差で経済的に疎外された家庭が増え、教育経費を負いきれないという例も多く指摘されるようになった。
各学校がすべて個別に問題を抱え解決を図るのでは、限界がある。例えば、一定範囲の地域、教育委員会の管内などで各公的機関が連携し、事態の把握や利用しやすい相談窓口の設置、不当な不払いに対する迅速適正な措置などができるようにしてはどうか。
学校も保護者・子供も、孤立するとえてして極端な手法を選択しかねない。
子供を一時的にしろ引き離した今回のケースは、それを示唆している。
毎日新聞 2008年4月15日 東京朝刊 社説
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質問:毎日新聞社は、「今は払えないけれど、後で払うから」と言う定期購読の読者に対して、配達を続けるのでしょうか。
また、駅の売店で「明日払うから、今日は勘弁して」という客に対して、新聞を渡させるのでしょうか。
少なくとも義務教育ではない高校の入学式で、「当日持参せよ」と通知してある入学金が納められていなければ、式に出席できなくても当然ではないでしょうか。誰に文句を言う筋合いでもないと思いませんか。
また、当該社説の最後では、
学校も保護者・子供も、孤立するとえてして極端な手法を選択しかねない。
とありますが、今回、八千代西高の執った措置が極端な手法だというのでしょうか。当然の措置であって、格段特別な措置であったとは考えられません。「入学金の納入がなければ、入学は認めない」→「納入しなかった」→「式には出席させない」と言うのは、当然のことです。
りんごさんもコメントで仰っていますが、「それでも入学を認めていただき、ありがとうございます」だと思います。
実際、当該保護者の発言は発表されていないようですが、いったいどういう考えでいるのか聞きたいところです。
朝日新聞が「ちょうにち新聞」に凋落した今、時に面白い記事が載ると、特に外出先では選んで購読していた毎日新聞ですが、朝日同様、今後一切手を触れないようにしたいと思います。
八千代西高には激励のメールを、法政大学と毎日新聞社とには抗議のメールでも出しましょうか^^;